あかしをかこんで
1.夢を願った
…これで全てが終わるのか。
体温が逃げないように膝を抱え、揺れる火の粉をただ見つめる。
このためだけに頑張ってきた。
このために、知識をたくさん集め、苦手だった剣技も習得し、恐怖を押し殺してきた。
豪快ないびきが聞こえ、そちらを見やる。
ハッサンが寝返りを打った。
よく寝れるな…と羨む反面、緊張も何も無いのかと呪いたくなる。
こちらは緊張して食事も満足に喉を通らなかったというのに。
だが、頼りになることは事実だった。
「ラファエル」
名前が呼ばれて、そちらを見た。
炎に金髪を煌かせたミレーユがこちらを見ている。
「薪、くべてもらってもいい?」
「あ、ああ、うん」
向こう側にある、比較的太めな木の枝をそっと火の中に放る。
女性のミレーユですら、普段の落ち着きを見せている。
自分が情けないだけなのか。
そう思い、心の中で苦笑う。
しかし、本当にこれですべてが終わるのだろうか?
ふとそんな疑問にぶつかった。
自分が後ろ向き思考なせいかもしれないが、相手は魔王だ。一筋縄ではいかないに違いない。
それに、眠り続けている人々は帰ってきても、一番会いたいあの子は絶対に帰ってこない。
ぎゅっと膝を抱える手に力を込める。
レイドックを束ねる次期王として、もちろん民のことも大事だと思っている。
いろいろ考えて頭がごちゃごちゃになり、ひと眠りするとミレーユに宣言してから炎に背を向けた。
ああ。
王子とか、世界の平和とか。
そんなのとは無縁の世界で暮らしたい。
そこでは、僕と妹は、ご近所からも「仲がいい」と噂されるほどの兄妹で。
僕はこんなにへこたれた性格ではなく、村を任されるほど剣の腕の立った好青年。
そんな世界があればどんなにいいだろう。
どんなに、いいだろう。
どんなに…
2.仲間ができた>>
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